コンテンツにスキップ

チュートリアル/ 1つのダム

まず、簡単でわかりやすい、1つのダムのケースから考えていきます。 1つのダムを対象に最適化を行います。

使用するサンプルプロジェクト
サンプルプロジェクト sampleProject_dam1.zip 19KB
操作手順 sampleProject_dam1.pdf 865KB

項目
ダム容量 (MCM) 20
初期貯水量 (MCM) 10
全流入量 (MCM) 27
流入量のピーク値 (m³/s) 500

単位

  • ダムの容量や貯水量の単位として、MCM (106 m³, 百万立方メートル) を使います。
  • 流量の単位として、m³/s (立方メートル毎秒) を使います。

目標は、「観測所1」の流量をできるだけ小さくすることです。
DioVISTAを実行する前に、どのような答えが得られるか、次の図を使って考えてみます。

  • 雨が降る前にダムには水が 10 貯まっています。
  • これを雨が降る前に下流に流します(10 を下流に流します)。
  • 雨が降って、水が 27 入ってきます。
  • 洪水を防ぐため、ダムが満杯になるまで貯めます(20 を貯めます)。 残りは下流に流します(7 を下流に流します)。
  • これらを合計すると、下流に流す量は 17、ダムにためる量は 20 です。

このように、ダムが1つの場合、最適な操作は簡単な足し算・引き算で求められます。

若干難しいのは、下流に流す量 (17 MCM) を何時間かけて下流に流すか、を決めることです。
たとえば、事前放流と洪水調整とで2段階に分け、それぞれの流量を求めることもできますが、そのようにするとピーク放流量は最小になりません。
最小化するには、流量時系列のグラフを使って次のようにします。

  1. 図の点Aを仮に決めます。
  2. 点Aから線分を水平に引き、ダム流入量と交わる点Bを求めます。
  3. 図形OABCの面積を求めます。
  4. 面積が 17 MCM より小さければ、点Aを上に移動します。逆に大きければ、点Aを下に移動します。
  5. 2に戻ります。

グラフからは、点Aが200 m³/sより若干大きな値であることが読み取れます。

では、DioVISTA は、どのような答えを出すのでしょうか。

DioVISTA Dams の操作方法
  1. ZIPファイルをダウンロードし、展開します。
    dam1.zip
  2. DioVISTA Damsを起動します。
  3. プロジェクトファイル dam1.ddzproj を開きます(メニュー > [ファイル] > [プロジェクトを開く])。
  4. "モデル" タブに移動します。
  5. [最適化] ボタンを押します。
  6. ダイアログが出現します。[ケース名]を入力します (Case1)。[OK]ボタンを押します。
  7. 数秒で最適化が完了します(画面下のダイアログに "Process terminated with exit code 0" と表示されます)。
  8. 最適化が完了したら、 [結果表示] ボタンを押します。

DioVISTA は、次のような答えを出しました。

  • 初期にダムの貯まっていた水は、すべて放流しました。
  • 最終段階で、ダムは満杯になりました。
  • ダムのピーク流入量は 1500 m³/s でした。
  • ダムのピーク放流量は 208 m³/s でした。

下の図は、データをCSV出力して作成したグラフです。

先ほどの考察で示したグラフと、同じ形状のグラフが得られました。
予想通りの答えが得られました。

なお、ここでは簡単のため次の要素は省いています。

  • 遅れ時間(ダム放流量が下流の水位計に到達する時間遅れ)
  • 放流の原則の順守(放流量を増加させる場合の増加量の上限値)